日中首相、9月会談に暗雲 処理水余波、戦略見直しも

東京, 8月30日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が9月上旬に調整する中国の李強首相との会談に、暗雲が漂っている。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に中国が猛反発。岸田首相としてはぎりぎりまで会談を模索する考えだが、見送りとなれば、日中関係改善に向けた戦略も見直しを迫られる可能性がある。
日本大使館にれんが片 処理水放出開始日に―中国

 岸田首相は29日の自民党役員会で、中国が日本産水産物を全面禁輸したことについて「科学的根拠に基づき専門家同士が議論するよう、中国政府に働き掛ける」と強調した。
 李首相との会談は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のため9月5日から訪問するインドネシアで調整。11月には習近平国家主席の出席が見込まれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が米国であり、外務省幹部は「9月に李首相、11月に習主席と会うのがメインシナリオだ」と語っていた。
 ただ、両国関係の冷え込みは隠せず、岸田首相周辺は「ここまでの反発は想定外だった」と漏らした。公明党の山口那津男代表の訪中が延期となったことは、習主席宛ての親書を託す予定だった岸田首相にとっても誤算だ。
 政府高官は「山口氏に地ならしをしてもらった上で李首相と会談する段取りだった」と明かす。政府関係者は「中国は振り上げた拳を下ろせなくなっている」と指摘し、李首相との会談は難しいとの見方を示した。
 日本政府内には、中国の対抗措置が長引くとの観測が広がる。2012年に政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化した際、中国では各地で反日デモが発生、関係立て直しには長期間を要した。岸田首相は「懸案があるからこそ対話する」と繰り返すが、秋以降もその機会を得られるか不透明感が増している。

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