東京, 10月14日, /AJMEDIA/
総務省は10月2日、携帯電話の電話番号として新たに「060」で始まる11桁を割り当てると発表した。
現在、音声通話ができる携帯電話には「090」「080」「070」で始まる番号が割り当てられており、容量としては2億7000万個が使えることになっている。しかし、070番号で残っているのは530万個しかなく、今後、足りなくなる恐れが出てきたのだ。
今回、「060」を追加すると総数は3億6000万個に拡大されるため、一気に余裕が出てくるというわけだ。
しかし、そもそも、今の日本は「少子高齢化」が叫ばれており、人口は減少傾向にある。IoTとして機械に通信機器をつけるようなソリューションが増えているが、IoT向けのデータ通信専用の通信には全く別の番号を割り当てることが可能なため、「090」「080」「070」が足りなくなるという理由にはならない。
なぜ、総務省は焦って「060」の追加を決めたのだろうか。
人口を遥かに超える2億7000万番号でも足りない背景
ひとつにはここ最近、「携帯電話回線を使った固定電話サービス」が増えつつあるということがある。このサービスでは固定電話として使うのだが、携帯電話番号も割り当てるため、どうしても携帯電話番号が必要になるというわけだ。
また、最近では店舗や事務所など固定電話をひかずに携帯電話を代表番号とするところも増えつつある。さらに企業では内線電話を置かずに、社員に携帯電話を持たせることで、内線電話の代わりのように使うようになってきた。
一人のユーザーが「プライベート用と仕事用」という「2回線持ち」が増えてくる中、人口を遥かに超える「2億7000万個の番号」でも足りなくなりつつあるというわけだ。
各キャリアにとって「契約者数のさらなる増加」は経営課題であることは間違いない。
特に第4のキャリアとして新規参入した楽天にとってはグループ全体の足を引っ張っているモバイル事業の黒字化がマストであるため、なんとしてでも新規契約で回線数をできるだけ増やしたいと闘志に燃えている。
実際、楽天モバイルが黒字化をするには契約数は800万から1000万回線、一人あたりの通信料収入は2500〜3000円を達成しなければならないとされている。
契約者数は9月12日現在、785万契約と、目標数をクリアしそうな勢いだ。
今後、楽天モバイルが黒字化するだけでなく、安定的な経営に移行できるようになるには、さらなる回線数が必要だ。このままの勢いが続けば「070の530万個じゃ足りない」なんてこともあり得るため、総務省としては060の割り当てを急いだのだろう。