戦勝記念日、反日デモ警戒 処理水で感情悪化も―習政権、抗日宣伝控えめ・北京

東京, 9月4日, /AJMEDIA/

【北京時事】中国は3日、抗日戦勝78年の記念日を迎えた。東京電力福島第1原発の処理水放出を受けて反日感情が高まる中、北京の日本大使館前ではデモを警戒し厳重な警備が敷かれた。習近平政権は処理水放出に猛反発する一方、国内の混乱拡大は避けたい考えとみられ、歴史に絡めた抗日キャンペーンは展開していない。
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 3日午前、北京市郊外の中国人民抗日戦争記念館には多くの人が訪れ、戦勝78年を記念する演奏会や展示を見て回った。街中でデモなどの目立った動きは確認されていない。
 記念館の近くを訪れていた中国人男性は、処理水放出について「日本でも大多数が反対している」と主張し、日本政府を非難。しかし、「きょうが何の日かは知らない」と抗日戦勝記念日には無頓着な様子だった。
 国営新華社通信によれば、北京では3日、戦勝78年を記念した座談会が開かれ、共産党政治局員の李書磊・党中央宣伝部長や、参戦した兵士の遺族ら約200人が出席した。新華社は「全ての中国人がこの日を心に刻まなければならない」として民族団結を強調したものの、直接の対日批判は避けた。
 中国では、戦勝記念日や柳条湖事件記念日(18日)を迎える毎年9月のこの時期に、反日感情が高まりやすい。処理水放出から1週間以上がたち、日本国内で相次いだ中国からの「嫌がらせ電話」は落ち着きつつあるようだが、インターネット上では「小日本」という蔑称で日本を批判するコメントがまだ多く見られる。
 習政権は、日本に「嫌がらせ電話」をかける動画の流行を放置する一方、デモの動きには神経をとがらせる。「国家安全」を重視する習国家主席は、批判の矛先が共産党・政府に向かう事態を警戒し、デモを容認しない考えとみられる。
 ただ、「抗日」を抑制する習政権が、日本との対話を受け入れるかどうかは依然、不透明だ。日中両国は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に合わせた首相同士の会談を調整しており、実現するかが注目されている。
 処理水放出後、中国では抗議電話のほか、日本人学校への投石事件が起きた。日本料理店の客足にも影響が出ている。日本外務省は中国に渡航・滞在する邦人に対し、不必要に大きな声で日本語を話さないなど、慎重に行動するよう呼び掛けている。

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