憲法審、議題巡り思惑にずれ 与党は選挙改革、野党は宗教

東京, 10月23日, /AJMEDIA/

 衆参両院の憲法審査会は週明け以降、今国会での審議をめぐる与野党の調整が本格化する見通しだ。自民党は、選挙制度改革などを取り上げ、憲法改正の議論を加速させたい考え。立憲民主党は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の接点が相次ぎ判明したことを踏まえ、「宗教と政治」を議題とするよう求めている。与野党の思惑にはずれが大きく、会期内にどの程度議論が進むかは見通せない。
 岸田文雄首相は18日の衆院予算委員会で「自民党総裁選を通じ、任期中に憲法改正を実現したいと言ってきた。(与野党が)議論を深めていくことを期待したい」と述べた。
 衆院憲法審は13日に幹事を選任。具体的な審議日程をめぐり、与野党の筆頭幹事が水面下で感触を探るが、自民党関係者によると「野党から色よい返事は返ってきていない」という。
 先の通常国会は、衆院で15回、参院で6回の実質審議が行われた。その後の参院選で、自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党を合わせた「改憲勢力」が3分の2を確保。自民党はこの流れを引き継ぎ、改憲論議の進展を目指している。
 自民党内では、衆院選挙区を「10増10減」する公職選挙法改正案の議論をきっかけに、選挙関連の事項を規定した憲法47条改正が主要な論点に浮上。森山裕選対委員長は17日の講演で、選挙制度改革について「地方からも一定数の政治家を選ぶことを考えると、憲法47条をどう変えていくかが大事だ」と訴えた。
 これに対し、立民は憲法審でも旧統一教会の問題を取り上げ、自民党に揺さぶりを掛けることを狙う。中川正春憲法調査会長は党会合で「政治と宗教の関連を憲法の観点から深堀りして議論する必要がある」と強調。日本維新の会の馬場伸幸代表も21日の記者会見で「政治と宗教の話を議論したいなら、(憲法審で)ひと枠を取ってやればいい」と同調した。
 自民党側には「まずは審査会を動かすことが大事だ。むげに断る必要はない」(閣僚経験者)との声がある一方、旧統一教会の問題がさらに拡大することへの警戒感も根強い。別の閣僚経験者は「最初は丁寧に立ち上げたい」と指摘。野党側の動向を慎重に見極める考えを示した。

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