東京, 9月10日, /AJMEDIA/
13日の内閣改造・自民党役員人事で、森山裕選対委員長が要職で起用される方向となった。岸田文雄首相には、衆院小選挙区の「10増10減」に伴う候補者調整で発揮した「仕事師ぶり」(党関係者)への期待に加え、来年秋の党総裁選に向けて非主流派を懐柔する思惑もありそうだ。
森山氏要職で調整 「自公国」当面見送り―岸田首相11日帰国、人選本格化
森山氏が率いる森山派(近未来政治研究会)は7、8両日、鹿児島市で研修会を開き、結束を確認した。内閣改造への対応を記者団から問われた森山氏は「政策集団としては政策を磨くことが全てだ。人事の時に派閥として行動するとか、そういうことは一切やらない」と語り、所属議員を押し込もうと躍起になる他派閥と一線を画した。
首相が昨年8月に森山氏を選対委員長に起用したのは「10増10減」を巡る調整手腕に期待したからだ。調整対象は134選挙区。各派の利害がぶつかる難作業だったが、今年7月に完了させた。党関係者は「普通は数年かかる調整を半年で終え、衆院解散の環境を整えた」と語った。
公明党との調整がこじれて東京での衆院選協力が一時破綻したことで、森山氏の責任は免れないとの声も党内の一部にあった。ただ、森山氏は国対委員長を歴代最長の4年余り務める中で築いた野党とのパイプも強み。首相はこの点に加え、来年9月の党総裁選に向け、菅義偉前首相や二階俊博元幹事長ら党内非主流派との関係の近さにも着目したとみられる。
党関係者の一人は「森山氏は人望が厚い。無役にすることはあり得ない」と語った。
森山氏を巡っては幹事長就任を期待する声も党内にあった。茂木敏充幹事長が続投する方向となったものの「党四役にとどめるべきだ」(関係者)との声が依然強い。総務会長横滑り案に加え、選対委員長として引き続き公明との関係修復に当たってほしいとの希望もある。
森山派の所属議員は8人で、党内6派閥の中で最少勢力。現在、同派の閣僚はゼロだ。派閥として首相に入閣希望を伝えないという異例の対応を取る中、入閣者を出せるかにも注目が集まる。