外遊厳選、権威付け狙いか 中国主席、初のG20欠席に波紋―「外遊はリスク」の指摘

東京, 9月6日, /AJMEDIA/

【北京時事】中国の習近平国家主席が毎年参加してきた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を初めて欠席することが明らかになり、波紋を呼んでいる。最高指導者として異例の3期目入りを果たした習氏が、外国訪問の機会を厳選することで権威付けを図ろうとしているとの見方も出ている。
中国の習主席、初のG20欠席 李首相が代理出席

 習氏がこれまで欠かさず出席してきたG20を欠席することは直前までほとんど予想されていなかった。G20欠席の理由を尋ねる外国メディアに対して、中国外務省の報道官は4日の記者会見で「中国はG20の関連活動を極めて重視しており、積極的に参加してきた」などと述べただけ。欠席理由は明確になっていない。
 ただ、習氏の外遊そのものも激減している。新型コロナウイルス流行前の2019年まで、習氏はおおむね年10回以上の外国訪問をこなしていたが、今年はわずか2回。現時点で年内に予想される外遊は、11月に米国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のみ。昨年末にゼロコロナ政策を解除した後、今年1月の秦剛外相(当時)によるアフリカ訪問を皮切りに、高官の外遊が「正常化」しているのとは対照的だ。
 習氏が今年訪れたロシアと南アフリカはいずれも中国との関係が良好だ。これに対し、G20が開かれるインドは中国と国境紛争を抱える。中国の覇権主義的な動きを批判する日米や欧州連合(EU)などがG20に参加していることも欠席を選んだ背景にありそうだ。
 一方で、習氏は外国要人の来訪を積極的に受け入れている。昨秋以降、中国側の招きによって、ドイツのショルツ首相やフランスのマクロン大統領をはじめとする西側の要人が相次ぎ訪中。米国も今年6月以降、ブリンケン国務長官ら4人の高官を中国に派遣した。中国の官製メディアは、こうした動きを「諸外国からのラブコール」として報道。「習氏の影響力の大きさ」を表すものとして、国内向けに宣伝している。
 中国政治に詳しい北京の識者は「体力を消耗する外遊は、習氏の長期体制にとってリスクになりかねない」と指摘する。習氏はすでに70歳。健康不安は伝えられていないが、今後、重要な国際会議でも、李強首相や王毅共産党政治局員兼外相らに任せる場面が増える可能性がある。

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