東京, 4月7日, /AJMEDIA/
火星や月の探査など宇宙開発の拡大が見込まれる中、日本原子力研究開発機構は、放射性物質が発する熱を利用して半永久的に電気を供給する「原子力電池」の開発に国内で初めて着手しました。
「原子力電池」は、人工衛星や探査機の電源としてアメリカで半世紀以上前から実用化されていますが、日本では熱源として使われるプルトニウムの製造施設がないことや、核物質のプルトニウムは法令上も厳重な管理が求められることから、開発が進んできませんでした。
こうした中、原子力機構はJAXA=宇宙航空研究開発機構からの委託を受けて、プルトニウムに代わる熱源として原発の使用済み核燃料などに含まれる放射性物質のアメリシウムを利用する「原子力電池」の開発に着手したと発表しました。
プルトニウムに比べ発熱量は小さいものの、これまでに核燃料から分離したアメリシウムをペレットと呼ばれる固形の燃料に加工して、小型のLEDランプを光らせることに成功したということです。
太陽光が届かない地球から遠く離れた宇宙空間や月面での夜間の活動では、探査機などの電源確保が課題となっていて、原子力機構は2029年初めまでに試作品を完成させる計画です。
ただ、実用化に向けては、ロケットで打ち上げる際の事故を想定した安全対策なども検討する必要があり、原子力機構は「安全で安定して使える電源を完成させ、自然科学の発展と社会に役立てたい」としています。