四半世紀の課題に道筋 公的資金完済へ、収益力強化カギ―SBI新生銀

東京, 3月8日, /AJMEDIA/

 SBI新生銀行が公的資金約3300億円の返済方法について、政府と合意に達した。同行の川島克哉社長は公表文で「約四半世紀にわたり経営課題であった公的資金完済に向けた道筋を付けることができた」と強調したが、合意には完済期限が盛り込まれないなど不透明さが残る。同行が目指す早期完済には、収益力の強化が欠かせない。

 SBI新生銀は、月内に1000億円を親会社SBIホールディングス(HD)からの出資と自己資本の活用で返済。残る約2300億円は毎年の配当で少なくとも45億円ずつ返していく。ただ、これだけでは50年程度かかるため、追加の特別配当を行い、数年以内の完済を目指す考えだ。

 一方、多額の返済で自己資本比率が低下すれば財務基盤が縮小し、事業戦略に影響が出る恐れがある。SBIHDが保有する資産の売却などで得る資金の活用も想定するが、十分とはいえない。

 同行の業績は足元で改善傾向にある。2024年4~12月期決算では、中期経営計画(中計)で掲げた通期連結純利益700億円の目標を前倒しで達成。他行より有利な金利設定が奏功し、SBIグループ入り前の21年3月末に4.9兆円だった個人の預金残高は6.4兆円に拡大した。法人部門も同グループとの連携で顧客基盤が強化されている。

 「金利ある世界」の復活で他行との競争は激しさを増している。経営の自由度を高めるために必要な公的資金完済には、来年度からの次期中計で持続的な成長戦略を打ち出せるかが鍵となる。

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