原発処理水 海洋放出から2か月 水産業への影響拡大懸念

東京, 10月24日, /AJMEDIA/

東京電力福島第一原発にたまる処理水の海への放出が始まってから、24日で2か月です。

放出に反発する中国に続いて、ロシアも日本産の水産物の輸入を規制すると発表するなど、水産業への影響がさらに広がることが懸念されています。

東京電力は福島第一原発にたまる処理水について、大量の海水を加えるなどして基準を下回る濃度に薄めた上で、ことし8月から海に放出していて、24日で放出開始から2か月となります。

これに反発して中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことで、8月の中国向けの輸出額は前の年の同じ月を65%下回る36億円にとどまった上、今後、さらに落ち込む見通しです。

また、東京・豊洲市場では先月の冷凍ホタテの取引価格が前の年の同じ月より2割ほど安くなったほか、中国で人気のナマコをめぐっても青森県漁連が買い手の見通しが立たないとして今月の漁の全面自粛を決めています。

さらに今月16日にはロシアが中国の輸入規制に加わると発表し、水産業への影響がさらに広がることが懸念されています。

こうした事態の打開に向けて、政府は今月28日から大阪で行われるG7=主要7か国の貿易相会合など、あらゆる機会を捉えて処理水放出の安全性を説明し、輸入規制の早期撤廃を求める日本の立場に対する理解を得たい考えです。

ふるさと納税の返礼品に切り替えも
茨城県北茨城市の旅館では茨城特産のあんこうを海外に広めたいと、あんこうを使った鍋やラーメンの料理セットを去年12月から香港に輸出し、これまでの売り上げはおよそ1200万円にのぼっていました。

ところが、ことし8月の処理水の放出を受けて、香港政府が茨城を含む10都県の水産物の輸入を禁止した影響で料理セットを輸出できなくなり、あわせておよそ2000食が在庫として残りました。

このため、旅館では今月中に北茨城市のふるさと納税の返礼品にして、当面はしのごうとしています。

旅館の武子能久社長は「今まで輸出していたのが、1つも注文が入らない状態になってしまい残念です。この問題を1人でも多くの人に理解してもらうとともに、一刻も早い輸入再開を求めたい」と話しています。

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