東京, 10月9日, /AJMEDIA/
バイデン米政権は7日、大量破壊兵器やミサイルに軍事転用できる最先端半導体の対中輸出規制を大幅に強化すると発表した。中国の習近平国家主席が共産党総書記として3期目入りを目指す党大会を前に圧力を拡大。台湾海峡をめぐる緊張が高まる中、米中ハイテク競争が激化するのは必至だ。
米商務省が7日、半導体と半導体製造装置に関する新たな対中輸出規制案を発表した。軍事開発に欠かせない人工知能(AI)やスーパーコンピューターに使われる先端半導体の輸出を制限。さらに特定の先端半導体を扱う中国企業の工場に対し、米国製の製造装置を販売することも原則禁止する。
トランプ前政権が中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)に適用した措置と同様、米国外で製造された半導体でも米国の技術や装置が使われていれば規制の網に掛かる。日本企業に例外が認められる余地はあるが、ハイテク分野における米国の対中規制として「1990年代以降で最も広範囲で厳しい」(米メディア)とされる。
半導体製造装置市場で米国のシェアは4割と最も多く、米国製装置の利用が一段と制限されれば、半導体の国産化を急ぐ中国には痛手となる。米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)でハイテク分野を担当するジム・ルイス氏は今回の措置について「冷戦時代の厳格な規制を想起させる」と分析する。
米政権は、中国のハイテク産業戦略の中核を担う半導体受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)や、メモリー製造で急成長する長江存儲科技(YMTC)などを標的としているとみられる。商務省は同日、YMTCを含む中国31企業・団体に対する輸出管理を強化すると発表。SMICは最も厳しい制裁である「輸出禁止対象企業」に既に指定されているが、対象を拡大する構えだ。