東京, 9月10日 /AJMEDIA/
富士山では10日、山梨、静岡両県で登山道が閉鎖され、夏山シーズンが終了した。危険な「弾丸登山」や混雑防止のため、山梨県は1日4000人の入山規制と1人2000円の通行料を導入。静岡県も任意の事前登録システムの運用を始めた。両県側ともに昨年より登山者数が減少したほか、「危険な登山が相当程度なくなった」(長崎幸太郎・山梨県知事)といい、オーバーツーリズム(観光公害)対策として一定の効果が見られた。
富士山登山者の約6割が利用する吉田口では、山梨県が5合目に仮設ゲートを設置。午後4時~翌日午前3時は閉鎖し、夜通しで山頂を目指す弾丸登山の防止を図った。昨年は1日の入山者(山小屋利用者を除く)が4000人を超える日が5日あったが今年は1日もなく、時間内にゲートを閉じることはなかった。
山梨県の担当者は10日、「大きなトラブルもなく、登山者数をコントロールする目的を達成できた。間違いなく規制の効果があった」と話した。
一方、規制導入を見送った静岡県は、事前登録手続きの際に登山ルールやマナーに関する動画の視聴を必須とした。県によると、富士宮、御殿場、須走の3ルートの5合目通過者のうち、7割が事前登録を済ませたといい、担当者は「初の取り組みでこの数は大成功だ」と話す。
ただ、弾丸登山や夜間登山はなくなっておらず、今シーズンは死亡事故が5件と例年を大きく上回った。鈴木康友知事は10日の記者会見で「(マナー違反をする)登山者は減っているものの、まだゼロにはなっていない。引き続き啓蒙(けいもう)し、警鐘を鳴らしていく」と話した。