東京, 6月5日, /AJMEDIA/
【キーウAFP時事】ソ連時代は禁書扱いされた小説「巨匠とマルガリータ」で知られるウクライナ出身の作家ミハイル・ブルガーコフ(1891~1940年)の像が、赤い塗料で塗られる事件がキーウ(キエフ)で起きた。犯行を認めた16歳の少年は「抗議行動だ。キーウからロシアを一掃する。脱植民地化だ」と訴えた。
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ブルガーコフが育った家がキーウに残っており、1990年代に博物館となった。像は博物館正面に飾られたモニュメントに刻まれている。
館長の女性は、赤く塗られた像をそのままにして「歴史は学ぶべきで、否定すべきではない」といさめる文章を掲示した。「ウクライナはとても難しい時期を迎えている。戦争でみんな『白か黒か』で考えるようになってしまった」と嘆いた。
博物館では不穏な空気を察し、ブルガーコフの呼称を5月、「ロシア・ソ連の作家」から「有名なキーウの住民・医師・作家」に変更したばかりだった。
少年や両親は、抗議の意思を世界に知らせるため実名での報道を望んだ。ブルガーコフは死去するまでの約20年間はモスクワで暮らし、ロシア語で小説を書いた。少年は「ブルガーコフの博物館がキーウにある理由が分からない」と主張した。ウクライナの作家連盟も、ブルガーコフを「ウクライナ独立反対論者」と呼び、博物館閉鎖を要求している。