上白石萌音さん「違った楽しみ教わった」 「千と千尋」英公演が大千秋楽へ

東京, 8月20日 /AJMEDIA/

連日ほぼ満席に近い観客で賑わう舞台版「千と千尋の神隠し」のロンドン公演が24日、大千秋楽を迎える。千尋役の1人、上白石萌音さん(26)が時事通信の取材に応じ、「言葉が通じないから変えたという演出はない」とし、最終日も「いつも通り、リアルに大切に届けたい」と語った。

 世界的にヒットした宮崎駿監督のアニメ映画が原作の同舞台は、日本人キャストが全編日本語で上演し、公演は異例の4カ月間に及んだ。幅広い年齢層の原作ファンらが劇場に足を運び、最終日は配信も予定される。

 「(日本公演と)変えないことを意識した」―。ロンドン公演は字幕で翻訳されるため、上白石さんは、言葉の異なる観客の理解を補う演技を特にしていないと話す。身振り手振りを過剰にすることはせず、「演出のジョン・ケアード氏をはじめとするスタッフが作り上げた世界観とクオリティーを楽しんで頂ける」。観客と作品の持つ力を信じ、千尋として伝えることを大事にした。

 ロンドン公演の意義については、「日本にしかない空気感がふんだんに詰まった作品を、日本人がやることに意味がある」と考える。油屋での雑巾掛けや、川の神様を送り出した後の喜びを表す群舞のシーン、衣装の着物を例に挙げ、「誰が見ても日本だという新鮮さがある」。翻訳では伝わりにくいニュアンスも、そのまま演じることで「知ってる日本語が聞こえてきた時など、感じることがあると思う。言葉が違うからこその面白さがあるのではないか」と話した。

 英国では「反応がビビッドに返ってくる」ことに感嘆した。千尋が冒頭、引っ越し先の新しい学校に向けて舌を出す場面で最初の大きな笑いが起きたことに驚いたといい、日本では起きない場面での反応に「作品の違った楽しみ方を教わった」。海外公演ならではの醍醐味を味わっている。

 記者が観劇を終えた観客に話を聞くと、「素晴らしかった」「再現度が高く、魔法みたい」「また観に来たい」などの言葉が興奮とともにあふれた。原作ファンで映画を娘と何万回も観たというタラ・グリフィンさんは「カオナシが大きくなるシーンがとても良かった」。一緒に観た娘は買ったばかりのカオナシのぬいぐるみを手にうなずき、「舞台はもっと生き生きしていた」と目を輝かせた。

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