東京, 5月18日, /AJMEDIA/
米大リーグで今季導入されたピッチクロック(投球間の時間制限)について、日本プロ野球でも早ければ2年後をめどに採用が検討されている。
目的は試合のスピードアップ。大リーグでは投手はボールを受け取ってから走者なしで15秒、走者がいる場合は20秒以内に投球動作に入る必要があると規定。打者は制限時間の残り8秒までに投球に備えなければならない。違反すると投手にはボール、打者にはストライクが宣告される。一部で混乱もあったが平均試合時間は大幅に短縮され、おおむね狙い通りとなっている。
日本野球機構(NPB)元審判長で規則委員の友寄正人さんは、「数々のメリットを感じる。投げて打つ力の勝負、という野球の原点に戻るのではないか」と評価している。NPBは職員を米国に派遣するなど調査済み。時間表示の機材や管理する人材確保など費用も軽視できないが、教育リーグでの検証実験などを経て、実現にこぎ着けたい考えだ。
友寄さんは「試合が2時間台になれば、現在(午後)6時の開始時間を6時半にできる。会社員が球場に来やすくなるし、帰りの時間も気にしなくてよくなる」と予測。場内滞在時間が短くなると、ビールなど飲食物の売り上げが減るという声もあるが、総合的に見て観客増につながるとみる。
社会人野球は今季から、一足早く「スピードアップ特別規程」としてピッチクロックを導入した。走者がいない場合、投手は12秒で投球動作に入ることが必要で、走者がいる時は20秒以内。今春行われた主要6大会で、昨年の平均試合時間よりも16分短縮という顕著な数字が出た。
社会人の大会では1日に数試合行うことが多く、長時間ゲームが続けば進行の妨げとなり、出場チームの業務に支障が出ることも導入した理由の一つ。日本野球連盟の神保忠弘事務局長代理は、「スムーズな大会運営につながっている」と効果を確認。日本球界でもピッチクロック導入の流れが加速しそうだ。