“ノーベル賞有力視の研究者22人”英学術情報サービス会社発表

東京, 9月20日 /AJMEDIA/

ことしのノーベル賞の発表が来月7日から始まるのを前に、イギリスの学術情報サービス会社が今後、受賞が有力視される研究者として、東京大学の堂免一成特別教授とアメリカ、国立衛生研究所の彦坂興秀氏を含む22人を発表しました。

世界中の研究論文を分析するイギリスの学術情報サービス会社「クラリベイト」は、世界の研究者が発表したおよそ6100万本の研究論文の引用回数などを分析して、毎年、ノーベル賞の受賞が有力視される研究者に「クラリベイト引用栄誉賞」を贈っています。

ことしは、6か国の研究機関から22人が選ばれ、このうちノーベル化学賞の有力候補の1人として、東京大学の堂免一成特別教授(70)が選ばれました。

堂免特別教授は、太陽の光を当てることで水を水素と酸素に分解する「光触媒」を使った人工光合成の研究で、水素を効率的に取り出す手法を開発したことが評価されました。

堂免特別教授は、太陽の光を当てることで水を水素と酸素に分解する「光触媒」を使った「人工光合成」の研究を1980年ごろから始めました。

当初の光触媒では、水を分解する際に太陽の光のうち、波長の短い紫外光しか利用できませんでしたが、堂免特別教授は、波長の長い可視光も利用できる光触媒を開発し、効率的に水を分解して水素を取り出すことに成功しました。

2021年には、光触媒を付着させたおよそ100平方メートルのパネルを屋外に設けて水を注ぎ、太陽の光を受けて発生した水素と酸素が混ざった気体を穴の空いた膜に通すことで、水素を高い純度で安全に抽出する手法を開発しました。

水素は燃焼しても二酸化炭素が発生しない燃料として活用できるほか、化学産業の現場では原料としても用いられています。

堂免特別教授によりますと、現在、水素は化石資源から取り出す方法が一般的ですが、製造の際に二酸化炭素が発生するため、地球温暖化への影響などが課題となっていて、環境面からも人工光合成への期待が高まっているということです。

堂免特別教授は「社会実装のレベルまでにはあと数年はかかり、光触媒の性能をもう少し上げる必要があるので今年度にこの賞を頂けるとは思っていませんでした。燃やして使っても地球の環境に悪くないような燃料を出来るだけ安く、大量に供給できるようなシステムを作り、エネルギー問題で起きている世界中の紛争が無くなる社会がやってきてほしいです」と話していました。

また、生理学・医学賞の有力候補の1人としては、東京大学出身で、運動や学習などをつかさどる「大脳基底核」の生理学的な研究に貢献した、アメリカの国立衛生研究所に所属する彦坂興秀氏が選ばれています。

「クラリベイト引用栄誉賞」を受賞した研究者は、去年までに421人いて、このうち75人がノーベル賞を受賞しています。

ことしのノーベル賞の発表は、来月7日の生理学・医学賞から始まり、8日に物理学賞、9日に化学賞、10日に文学賞、11日に平和賞、14日に経済学賞の発表がそれぞれ行われます。

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