東京, 10月28日, /AJMEDIA/
イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突が始まってからテロへの警戒が強まるフランスで、ユダヤ教の聖職者が取材に応じ、脅迫などが相次ぎ、ユダヤ系の住民の間では安全への不安が強まっていると明らかにしました。
フランスでは今月13日に北部の高校で教師が男に刃物で殺害される事件が起きてから、全土でテロへの警戒が最高レベルに引き上げられています。
地元メディアによりますとフランスはヨーロッパで最も多い50万人に上るユダヤ系の住民が暮らしているとされ、首都パリにあるユダヤ教の礼拝所では入り口の警備が強化されています。
礼拝所の聖職者のモシェ・スバグ氏は27日、NHKのインタビューに応じ「どなられたり脅しのメッセージを受け取ったりすることもある。自分たちで身を守るため、ユダヤ教の伝統の服装をもう着ていない人もいる」と述べ、ユダヤ系の住民の間では安全への不安が強まっていると明らかにしました。
そして「ここはフランスであり、中東での問題を持ち込んではいけない。私たちは異なる考えや異なる宗教を信じる権利があり、多様性が私たちを結束させる」と訴えました。
フランス内務省によりますと、ハマスとイスラエルの一連の衝突が始まった今月7日以降、ユダヤ系住民に対する脅迫などは700件以上に上っているということで、対策に迫られています。
仏軍 観光地や宗教施設など500か所で警戒
テロへの警戒が最高レベルに引き上げられたことを受けて、フランス軍は、全土で7000人を動員し、観光地や宗教施設など500か所で警戒にあたっています。
26日にはパリ中心部のルーブル美術館や隣接する公園で、銃を持った兵士がパトロールしていました。
兵士の1人は「中東の情勢や、高校での殺害事件もあって、部隊の人数を増やして警戒にあたっている。観光客に安心を与え、あらゆる危険を未然に防ぐことが目的だ」と話していました。
南東部グルノーブルから訪れたフランス人の20代の女性は「治安は悪くなっていますし、観光地でパトロールが多いことは、特に外国人にとっては安心につながると思います」と話していました。
日本から観光に訪れた20代の女子大学生は「警備が厳しくなってさらに安全になっているのであればありがたい。両親は渡航を心配していたが、日本政府の注意喚起も見て、気をつけたいと思う」と話していました。