東京, 10月26日, /AJMEDIA/
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍の攻撃によって西部にある原子力発電所の敷地内にある建物が被害を受けたとして強く非難しました。
一方、ロシアのプーチン政権は、核兵器も搭載可能な大陸間弾道ミサイルなどの発射演習を行ったと発表し、核戦力による威嚇を繰り返しています。
ゼレンスキー大統領は、25日に公開した動画で、ウクライナ西部のフメリニツキー州でロシア軍による無人機攻撃があり、撃墜はしたものの、周辺に住むおよそ20人がけがをしたほか、フメリニツキー原子力発電所の敷地内にある建物が被害を受けたと明らかにしました。
ゼレンスキー大統領は「原発を標的にしていた可能性が高い」と強く非難したうえで防空能力を強化する必要性を改めて訴えました。
これに対しロシア国防省は25日、アメリカがウクライナに供与した、射程の長い地対地ミサイルATACMS、2発を迎撃したと主張しましたが、原発周辺への攻撃については言及していません。
一方、ロシア大統領府は25日、プーチン大統領が指揮を執って、核兵器も搭載可能なミサイルの発射演習が行われたと発表しました。
ロシア北部の宇宙基地から大陸間弾道ミサイル「ヤルス」を、北西部のバレンツ海で原子力潜水艦から弾道ミサイル「シネワ」を発射したほか、長距離戦略爆撃機から巡航ミサイルを発射し、いずれも計画どおりに遂行されたと強調しました。
ロシアでは同じ日に、議会上院がCTBT=包括的核実験禁止条約の批准を撤回する関連法案を可決し、プーチン大統領の署名をもって批准が撤回される見通しとなりました。
議会で演説したリャプコフ外務次官が核実験を再開する可能性も示唆するなど、プーチン政権は核戦力による威嚇を繰り返し、ウクライナ侵攻で対立を深めるアメリカへのけん制を一段と強めています。
IAEA 原発の建物などへの被害を確認
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、25日に声明を発表し、ウクライナ西部のフメリニツキー原子力発電所の周辺で大きな爆発があり、敷地内にある建物などで被害が出たと明らかにしました。
原発には、IAEAの専門家が常駐し、25日午前には、大きな爆発音が2回聞こえたということで、ウクライナ側からは原発からおよそ5キロから20キロ離れた場所で合わせて2機の無人機を撃墜したという報告を受けたということです。
そして、爆発の衝撃波で原子炉建屋につながる通路をはじめ、敷地内の複数の建物の窓ガラスが割れ、放射線モニタリングの施設への電力供給も一時的に途絶えたということです。
原発の運転に直接的な影響は出ていないということですが、グロッシ事務局長は「ウクライナの原子力の安全が極めて不安定な状況に置かれていることを改めて明確にした」として、強い危機感を示しました。