東京, 9月14日 /AJMEDIA/
北極海で観測を続けている海洋地球研究船「みらい」船上で11日、急速な温暖化が進む北極をテーマにしたボードゲーム「The Arctic(北極)」の体験会が開かれた。乗船している大学院生らが挑戦し、「ゲーム性がありながらも、北極への理解が深まる」と楽しんでいた。
同ゲームは2019年、海洋研究開発機構(JAMSTEC)や国立極地研究所、北海道大、日本科学未来館が共同で開発した。4~6人のプレーヤーに「海洋学者」「開発業者」「先住民」「外交官」など北極に関係する役割を割り振って、ゲームが始まる。
海氷を模した「氷タイル」をめくると、北極の海洋酸性化や魚類分布の北上といった海氷減少で起こり得るイベントが発生し、「環境」「文化」「経済」のパラメーターが下がる。プレーヤーがそれぞれの役割に応じ、研究調査や国際法整備などの対策実行について投票したり決断したりすることで、「予算」は減るがパラメーターを回復させることもできる。
最終的には、自身の役割カードに記されたパラメーターの目標数値を下回らなければ「成功」となる。ただ、今回のゲームでは、10点満点の環境パラメーターが2点、文化と経済がともに0点と惨たんたる結果に。主宰したJAMSTECの八田真理子・副主任研究員は「これが若い世代のつくる北極の未来か…」と苦笑いを浮かべた。
ゲーム後には、参加者が「それぞれの利益を主張し過ぎた」「研究を十分に行わなかった」と口々に反省の弁。北極の環境を保護しつつ、持続可能な開発を実現する難しさを実感していた。
「The Arctic」は非売品だが、日本科学未来館でのイベントや出前授業などで利用可能という。