東京, 02月02 /AJMEDIA/
韓国で開かれたユースオリンピックは1日夜、閉会式が行われ、14日間の大会に幕を下ろしました。日本勢は今大会で金メダル3つを含む15個のメダルを獲得し、若手アスリートの今後の活躍に期待が膨らむ結果となりました。
日本勢 メダル15個“今後に期待膨らむ結果に”
先月19日から14日間の日程で行われたカンウォンユースオリンピックには、ことし15歳から18歳になるおよそ1900人の選手が参加しました。
大会は1日、すべての競技が終了し、午後8時からはカンヌン市内の屋外に設けられた会場で閉会式が行われました。
雪が降る中、行われた閉会式には、日本選手団から、銀メダルを獲得したアイスホッケー女子のキャプテン、寺内姫夏選手やスノーボード女子ハーフパイプで銀メダルを獲得した清水さら選手などが出席しました。
閉会式では、大型ビジョンに選手たちが韓国の文化を楽しむ様子や競技後の姿などをSNSに投稿した写真や動画を映し出して大会を振り返りました。
このあとIOCのバッハ会長があいさつし「選手の皆さんの笑顔とパフォーマンス、そしてボランティアの方々など今大会を成功に導いたすべての努力に感謝します」と選手や大会に関わった人たちをたたえました。
最後に大型ビジョンに映し出された「デジタル聖火」の火が消されて14日間の大会に幕が下ろされました。
日本勢は今大会で金メダル3つを含む15個のメダルを獲得し、若手アスリートの今後の活躍に期待が膨らむ結果となりました。
冬のユースオリンピックの次回の開催地は未定で、来年の初めごろまでには決まる見通しだということです。
◇スノーボード 清水さらと山田琉聖の談話
ユースオリンピックの閉会式を前に、1日に行われたスノーボード女子ハーフパイプで銀メダルを獲得した14歳の清水さら選手と、男子で銅メダルを獲得した17歳の山田琉聖選手が取材に応じました。
このうち清水選手は「表彰台に上がることが目標だったのでそれができたことはよかったが、3回目まで同じルーティンでもっと点数を出すことに挑戦していて、それがうまくいかずに終わったのは悔しい。1つのことに集中するとほかのところまで気が回らないところがあるのでこれから練習していく中で克服していきたい」と課題を口にしました。
閉会式に向けては「今まで出た大会よりもほかの国の選手と交流することが多くたくさんの友達ができたので、閉会式は全部を楽しみたい」と話していました。
また、山田選手は1日の結果について「優勝を目指していたので悔しい部分はあるがこの舞台でメダルを取ることができたのはとてもうれしく思う。同じ世代のこれから戦っていくメンバーが集まったと思うのでこれからも切磋琢磨しながらみんなでうまくなっていければいいと思う」と話しました。
そのうえで「いろいろな人たちと交流できて本当によかったし閉会式はしっかりと雰囲気を楽しみたい」と話していました。
◇日本選手団 原田団長「これからが楽しみだという手応え」
長野オリンピックのスキージャンプの金メダリストで、日本選手団の団長を務めた原田雅彦さんは金メダル3個を含む、15個のメダルを獲得した日本選手の結果について「選手たちは本当によく頑張ってくれたと思うし、すばらしい結果だと思う」とたたえました。
今大会では、これまで国際大会で低迷が続いてきたスケートのショートトラックで、3つのメダルを獲得するなど、成果を示した一方で、伝統的に力を発揮してきたスキーのジャンプやノルディック複合といった種目ではメダルなしに終わりました。
こうした結果を受けて、原田団長は「各競技ごとの強化の現状がそのまま出た結果だと思う。スキーの選手たちは年齢が低く経験の差も出た。今回の成績をもってそれぞれの指導者が選手たちの成長に結びつく指導を行っていくことになるが、どの競技のどの選手にもこれからが楽しみだという手応えは感じた」と評価しました。
最後に選手たちに向けては「これからライバルになる選手たちと試合をできたことは本当に刺激になったと思う。この経験を自信にして大きく成長していってほしい」と話していました。
ジェンダー平等へ混合種目増加も
韓国で開催された冬のユースオリンピックは、IOC=国際オリンピック委員会が今後のオリンピックでジェンダー平等を進めるためテストケースとしての側面もありました。
およそ1900人の出場選手は男女が半分ずつで、これは、この夏のパリオリンピックでも同じ形が取られます。さらに、出場する女性アスリートを増やすため男女の種目数も、ともに32種目と同じ数にしました。
そして、男女がチームになって競技を行う「混合種目」は前回大会よりも4つ増えて合わせて17種目が行われました。
また、開会式でそれぞれの国と地域の選手が入場する際に国旗などを掲げる旗手も男女のペアが推奨され、日本選手団のカーリングの藤井海斗選手とスキージャンプの佐藤柚月選手など、多くのチームが男女のペアで行進しました。IOCは、旗手の男女の割合はほぼ同じになったとしています。
IOC ディレクター「我々が目指してきた未来の五輪の姿」
IOCのコミュニケーション部門のディレクターは「今大会こそがわれわれが目指してきた未来のオリンピックの姿だ。混合種目は選手からの評判もよく、増やしたことは成功だった」と手応えを話しました。
そのうえで、すでに混合種目を増やすことが決まっているこの夏のパリオリンピックでは今大会の取り組みも踏まえて旗手に男女のペアを選ぶことをさらに働きかけるということで「オリンピックは、世界で最も強力で最大のコミュニケーションプラットフォームだ。オリンピックで男女の格差解消が実現されることは世界に向けてジェンダー平等の強力なメッセージを送ることになる。パリ大会に向けてもさらに行動を続けスポーツにおいては、私たちは皆平等であることを示したいと思っている」と話していました。