ウクライナ自治体トップら 復興会議開催前に支援呼びかけ 東京

東京, 02月17 /AJMEDIA/

来週、東京でウクライナの復興に関する会議が開かれるのを前に、ウクライナの自治体のトップらが都内で行われたイベントに出席し、ロシアによる軍事侵攻で多くの建物やインフラが今も被害を受けているとして支援を呼びかけました。

このイベントはウクライナの自治体や企業への支援につなげようと、JICA=国際協力機構が東京 千代田区で開きました。

会場内のステージでは、ウクライナの自治体のトップなど合わせて10人が、現地の状況について講演しました。

このうち8か月にわたりロシアに占領された南部ヘルソン市のベロブロヴ副市長は「毎日、80から150の砲弾が着弾し、市民は生きることだけを考えているが、同時にあす、あさってのことも考えている」と述べて、ロシアによる侵攻が続く中でも復興に向けた動きが大切だと強調しました。

そして、地下に病院を建設し、攻撃があっても稼働できるようにする計画や、破壊されたかんがい施設を復旧させる計画があるとして支援を呼びかけました。

また会場には、ウクライナで義手をつくる企業など合わせて10社がブースを設け、訪れた人たちに事業の内容を説明し、投資や技術協力などを求めていました。

前線に近い東部ハルキウ市のイサエヴィ副市長は、多くの住宅や教育機関が今もロシアの攻撃を受けているとして「ハルキウ市は巨大な被害を受け、復旧のために多くの費用がかかる。日本からの継続的な支援を期待している」と話していました。

長期的な復興支援に日本企業も
東京で開かれるウクライナの復興に関する会議では、日本企業も現地の企業などと協力文書を交わすことになっています。

このうち、植物由来の界面活性剤を製造する技術を持つ静岡県沼津市のスタートアップ企業は、ウクライナの農業法人などとの間で、原材料の調達や実証実験に関する協力文書を交わすことにしています。

界面活性剤は、洗剤や化粧品など幅広い分野で活用され、石油を原料とするものも多く使われていますが、この会社の製品は、植物由来のため、環境への影響を抑えられることが特徴だとしています。

会社では、ウクライナの農業法人の協力も得て、現地で生産される菜種やひまわりの種を使ったヨーロッパ向けの界面活性剤の量産を計画していて、実現すれば、長引く軍事侵攻で荒廃した農地の復興にも役立つとしています。

「アライドカーボンソリューションズ」の山縣洋介代表取締役は「欧米では、界面活性剤を石油由来から植物由来のものに移行する傾向にある。畜産や肥料の添加剤に使うなど、農業での利用方法もウクライナの企業と確立していきたい」と話していました。

日本政府としては、今回の会議で交わす協力文書をもとに、民間企業の技術力も活用しながら地雷の除去やがれき処理などの緊急支援に加え、農業の生産性向上や交通、エネルギー分野のインフラ整備など、長期的なウクライナの復興支援につなげていきたい考えです。

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