東京, 4月12日, /AJMEDIA/
たばこの煙や「苦み」に反応してせきや飲み下しを引き起こす新たな感覚細胞をマウスの「のど」で見つけたと京都府立医科大学などの研究グループが発表しました。グループは慢性的なせきの治療につながるとして、今後、ヒトにも同様の感覚細胞がないか調べることにしています。
京都府立医科大学の樽野陽幸 教授らの研究グループはマウスの感覚器官を調べる中で、せきや飲み下しに関わる新たな感覚細胞を発見しました。
この細胞は気管の入り口の「喉頭(こうとう)」と食道の入り口部分の「咽頭(いんとう)」にそれぞれ存在します。
「喉頭」にある細胞はたばこの煙や空気汚染物質などに含まれる化学物質の刺激に反応してせきを起こす一方、「咽頭」部分にある細胞は苦みに反応して飲み下しを促すこともわかりました。
この細胞の働きに関わる特定の遺伝子が働かないようにしたマウスでは、化学物質による刺激を与えてもせきが出なくなったということです。
グループは慢性的なせきの治療などにつながる成果だとしていて、今後、ヒトののどにも同様の感覚細胞がないかを調べることにしています。
樽野 教授は「たばこの煙でせきが出るのは煙の粒子を吸い込むことで物理的な刺激を受けるからだと思われていたが、煙の化学的な成分が原因の可能性が示された。この細胞がヒトののどにもあれば、せき症状の精密な診断や治療薬の開発につながる」と話していました。