東京, 2月25日, /AJMEDIA/
子どもや平和などをテーマに作品を描いてきた画家のいわさきちひろが、子ども向けの雑誌に掲載していた絵の原画30点余りが見つかりました。
ちひろの作品を管理する美術館は「これだけまとまって原画が見つかることは奇跡に近く、当時の画風を検証するうえで非常に重要だ」としています。
見つかったのは、いわさきちひろが1958年から1962年にかけて子ども向けの雑誌「こどものせかい」に掲載していた作品の原画32点です。
このうち「きょうも たのしい ようちえん」という作品は、子どもたちの遊ぶ姿が花々とともに描かれ、躍動感のあるポーズや奥行きのある構図が特徴です。
また「あめふり」は、雨の中、絵の具を落として涙を浮かべる女の子の表情が印象的な作品で、枠外には「雨は少し太くする」など、編集者の指示とみられる文も確認できます。
にじみやぼかしによる淡い色彩がちひろの画風として知られていますが、ちひろ美術館によると、今回見つかった原画は輪郭や背景がはっきりと表現されているのが特徴だということです。
原画は発表後、行方がわからなくなっていましたが、去年、雑誌の出版社の倉庫から見つかったということで、美術館は「これだけまとまった数が見つかることは奇跡に近く、当時の画風を検証するうえで非常に重要だ」としています。
見つかった原画の一部は、東京と長野県の安曇野にあるちひろ美術館で3月1日から展示される予定で、ちひろの長男で美術館の松本猛常任顧問は「生き生きとした子どもたちのエネルギーや、絵に描かれた時代性を楽しんでほしい」と話しています。