東京, 11月26日, /AJMEDIA/
イスラエルとイスラム組織ハマスが4日間の戦闘休止と引き換えにあわせて50人の人質を解放するなどとした合意についてハマスは25日、イスラエル側が合意を守っていないとして第2陣の人質の解放を延期したとしていましたが、日本時間の26日午前6時ごろ人質を解放したと発表。イスラエル政府はイスラエル人13人とタイ人4人のあわせて17人と発表しました。
イスラエル側とハマス、それに仲介役のカタールとエジプトの間では、水面下で慎重な駆け引きが続いているとみられ、今後も着実に履行されるかどうかが焦点です。
※イスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。
目次
注目
ハマス“イスラエル人13人と外国籍の数人引き渡した”
イスラエル首相府 “解放はイスラエル人13人とタイ人4人”
注目
ハマス“イスラエル人13人と外国籍の数人引き渡した”
日本時間の26日午前6時ごろ、ハマスはイスラエル人の人質13人と外国籍の数人を赤十字に引き渡したと発表し、人質を解放したとしています。
イスラエル首相府 “解放はイスラエル人13人とタイ人4人”
イスラエル首相府は25日夜遅く、人質のうちイスラエル人13人とタイ人4人が解放されたと発表しました。
バイデン大統領 カタール首脳と電話会談 人質解放に向け
アメリカ・ホワイトハウスは25日、バイデン大統領が、カタールのタミム首長やムハンマド首相兼外相と電話で会談し、人質の解放に向けた合意が履行される上での障害やそれをできるだけ早く解消するための方策について協議したと発表しました。双方は、合意が完全に履行されるよう引き続き、緊密に連携していくことで一致したとしています。
ニューヨークでパレスチナ支持者がデモ
アメリカのニューヨークでは、パレスチナを支持する人たち数百人が参加するデモが行われました。
集まった人たちは、持ち寄ったボードを掲げたり旗を振ったりしながらイスラエルによるこれまでの攻撃を非難しました。
参加した男性は「戦闘休止は見せかけにすぎない。4日間の休止なのでこれで戦闘が収まるわけではない」と話し4日間の戦闘休止は短すぎるなどとイスラエル側を批判していました。
また、子どもと一緒に参加していた母親は「現地で子どもが犠牲になっていることは最も悲しいことだ。自分の子どもには誰かのために声を上げることの意味を知ってもらいたいと思って、今回のデモに参加した」と話していました。
感謝祭の休暇シーズンにあたるニューヨークは、多くの人でにぎわっていましたが、デモが行われた周辺では大勢の警察官が警戒にあたり、大きな混乱はありませんでした。
ロイター通信 “解放された人質を乗せた車両”様子伝える
ロイター通信は、ガザ地区南部のエジプトとの境界にあるラファ検問所付近で、赤十字の旗を掲げた複数の車両が走行する様子を伝えました。ロイター通信は、解放された人質を乗せた車両だとしていて、車両が通過するたびに多くのメディアのカメラマンが車に近づき撮影していました。
ハマス 人質解放延期を発表も 仲介役のカタール“解放へ”
イスラエルとハマスは、今月24日から4日間の戦闘休止と引き換えにガザ地区でハマスが拘束している人質50人を解放することなどで合意し、初日は合意に基づいた形でイスラエル人13人など、あわせて24人の人質が解放されました。
また、イスラエルの刑務所に収容されていたパレスチナ人の子どもや女性39人も釈放されました。
戦闘休止2日目となった25日夜、ハマスの政治部門の幹部がレバノンの首都ベイルートで記者会見を行いガザ地区北部に届けられた支援物資が合意の半分以下でしかないなどと主張し「イスラエルは合意を守っていない。仲介役からの報告があるまで、人質の第2陣の解放を延期した」と述べました。
人質の解放が遅れるとの見方が伝えられる中、仲介役を担うカタール外務省の報道官は25日夜「カタールとエジプトがイスラエルとハマス双方と連絡を取り合った結果、障害は取り除かれた」とSNSに投稿しました。その上で、合意に基づき、ガザ地区からイスラエル人の人質13人と、外国籍の7人が解放されるほか、イスラエルの刑務所から39人のパレスチナ人が釈放されるとしています。
燃料搬入のガザ地区 ガソリンスタンドで混乱
イスラエルとハマスの間の戦闘休止の合意にともなって、ガザ地区には一定量の燃料も搬入されています。
NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが25日、ガザ地区南部のラファ市内で撮影した映像では、燃料の搬入を受けて営業を再開したガソリンスタンドに多くの人がつめかけている様子が映っています。
住民たちは、給油用の容器やペットボトルを持参して燃料を買い求めていましたが、あまりにも多くの人が集まり混乱が生じたため、この日は急きょ閉店し、翌日に営業を再開することになったということです。
燃料を買いに来た男性は「車に燃料を入れて、食料を探しにいかないといけないんです。食料、水、燃料、何を手に入れるのも大変です」と話していました。
また別の男性は、多くの人が燃料を求めに訪れたものの混乱によって手に入らない現状について「これこそがガザ地区で起きている危機です。先月から給油ができず車はとめたままになっています」と話していました。
戦闘休止の合意にともなって、ガザ地区には一定量の燃料が搬入されているものの住民たちにとっては、飲み水や電気など生活に必要な物資やインフラは不足した状態が続いています。
テルアビブで人質全員の解放求める大規模集会
イスラエル最大の商業都市テルアビブでは、ガザ地区で拘束されている人質全員の解放を求める大規模な集会が開かれ、参加した家族からは、不安や怒りの声などが聞かれました。
この集会は25日夜、イスラム組織ハマスによる先月7日の襲撃から50日目となったことに合わせて開かれ、主催者によりますと、およそ10万人が参加し、会場の広場や周辺の道路を埋め尽くしました。ステージ上では、人質の家族や支援者が、まだ解放されていない人たちの写真を掲げて並び、地元の人気歌手が人質の無事を願う歌を歌ったり、「直ちに解放しろ」などと全員で呼びかけたりしていました。
84歳の母親を連れ去られた女性は「怒りや悲しみが入り交じった気持ちです。母は薬が必要なので、とても心配しています」と話していました。
そして、ハマスが人質の解放を遅らせると発表したことについては「彼らが仕掛けている駆け引きで精神的なテロのようなものだと思います。いずれ解放されると信じていますが、すべてが非常に不安定な状況です」と懸念していました。
また、男性は「夜遅い時間になったとしても人質が解放されることを願っています。ハマスは、人質の家族の心を折り、イスラエルを分断しようとしていますが、私たちは、全員の解放を実現します」と、ことばに力を込めていました。
ロイター通信 ガザ地区で撮影された映像を配信
イスラエルと、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘休止が2日目に入る中、ロイター通信は、ガザ地区で25日に撮影された映像を配信しました。
このうち南部ハンユニスで撮影された映像では、数百人の人が燃料を手に入れるため、長い行列を作っていました。また、北部から南部に退避してきた人もいるということです。
並んでいた男性の1人は、「5時間も待ったのに、ガスがないまま家に帰ろうとしています。家も車もお金もなくなりました。どうすればいいのでしょうか」と窮状を訴えていました。
また、北部ジャバリアで撮影された映像では、多くの建物が倒壊している様子やがれきで埋め尽くされた通りも確認できます。残された建物も一部が大きく崩れたり、外壁に穴や銃撃のあとがあったりするなど大きな被害を受けています。