【随時更新】イラン 大使館がイスラエルの攻撃受けたと非難

東京, 04月02日 /AJMEDIA/

中東のシリアにあるイランの大使館が攻撃を受けて軍事精鋭部隊の幹部らが殺害され、イランはイスラエルによる攻撃だと非難し、何らかの報復を行う考えを示しました。一方のイスラエルは、関与を認めていません。

イランの国営メディアは1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物が、イスラエルによるミサイル攻撃で破壊され、軍事精鋭部隊の革命防衛隊で国外の特殊任務にあたる「コッズ部隊」の司令官の1人と副官を含む7人が殺害されたと伝えました。

イラン外務省のキャンアニ報道官は声明を出し、大使館の保護などを定めたウィーン条約に違反する行動で「最も強い言葉で非難されるべきだ」として、国際社会や国連による緊急の対応を求めたうえで、「イランには対抗措置を取る権利がある」として、何らかの報復を行う考えを示しました。

一方、イスラエル軍の報道官は1日、「外国メディアで伝えられる個別の攻撃には言及しない。戦争の目的を達成するため、対応を続ける」とコメントし、関与を認めていません。

シリア国内では去年12月からイスラエルによるとみられる攻撃でイランの革命防衛隊の隊員が相次いで殺害されていますが、在外公館が攻撃を受けるのは初めてです。

ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中、イスラエルとハマスを支援するイランとの対立も深まっていて、今回の攻撃を受け中東の混乱がいっそう拡大することが懸念されます。

イスラエル軍の報道官「個別の攻撃 言及しない」
イスラエル軍の報道官は1日、「外国メディアで伝えられる個別の攻撃については言及しない。戦争の目的を達成するため、対応を続ける」とコメントしています。

米 ホワイトハウス報道官「調査中」
アメリカ・ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、1日の記者会見で「報道は把握しているし、われわれのチームも調査中だ。ただ、現時点では、それ以上、言うことはない」と述べるにとどめました。

また国務省のミラー報道官も記者会見で「地域のパートナー国と連絡をとり、情報を収集しているが、攻撃の標的や誰に責任があるかなどまだ把握できていない。戦闘の拡大のおそれは常に懸念していることだ」と述べました。

国連イラン代表部 安保理の緊急会合の開催要請
国連イラン代表部は1日、国連のグテーレス事務総長と今月の安全保障理事会の議長国マルタの国連大使に対して書簡を送り、「イスラエルのテロ攻撃は国連憲章と国際法に対する明白な違反だ」などと非難し、対応を協議する安保理の緊急会合を開催するよう求めました。そして、議長国のマルタによりますと、ロシアも緊急会合の開催を求め、2日午後3時、日本時間の3日午前4時から開催することを決めたとしています。

上川外相 UNRWAへの資金拠出を再開と発表
UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関をめぐっては、一部の職員が去年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃に関与した疑惑が出ていて、日本政府は、ことし1月から資金拠出を停止しています。

上川外務大臣は先週、ラザリーニ事務局長と外務省で会談し、拠出した資金が適正に使われているか定期的に報告を受ける新たな枠組みを設けることを確認しました。

上川大臣は国会内で記者団に対し、「UNRWAはガバナンスの改善策を進めている。これを受け、資金拠出の一時停止を解除して支援を実施していくことにした」と述べ、資金拠出を再開すると表明しました。

その上で、「パレスチナの人道状況は待ったなしで、人道支援にはUNRWAの関与が不可欠だ」と強調しました。外務省によりますと、昨年度の補正予算に盛り込まれた、およそ3500万ドル=日本円でおよそ53億円の支援金について準備が整いしだい拠出するということです。

NGOスタッフ イスラエル軍による攻撃で死亡
パレスチナのガザ地区などで食料支援活動を続けている国際的なNGO、「ワールド・セントラル・キッチン」は1日、ガザ地区で活動中だった複数のスタッフが、イスラエル軍による攻撃で死亡したとSNSで公表しました。

AP通信などによりますと、死亡したのはイギリス人とポーランド人、オーストラリア人のほか、パレスチナ人の運転手、それに国籍が不明の合わせて5人で、一行は車での移動中にイスラエル軍の空爆に巻き込まれたと見られるということです。

AP通信が配信した、ガザ地区中部のデルバラハで1日に撮影された映像では、NGOのワッペンを身につけた人が病院に運び込まれるようすや出身国のものとみられるパスポートの表紙がうつされています。

「ワールド・セントラル・キッチン」はSNSへの投稿で「これは悲劇だ。民間人と、人道支援に携わる人は、決して標的にされてはならない」として攻撃を強く非難しました。

一方、イスラエル軍は「軍はこの悲劇的な事件の状況を解明するため最高レベルで徹底的な検証を行っている」とSNSに投稿しました。ガザ地区での被害が支援活動を行う外国人にも広がったことでイスラエル軍の軍事作戦への国際的な批判がさらに高まることが予想されます。

ラファ地上作戦めぐりアメリカとイスラエルが協議
イスラエル軍が150万人近くが身を寄せるガザ地区南部ラファへの地上作戦を強行する姿勢を崩さない中、ホワイトハウスは1日、アメリカとイスラエルの政府高官が地上作戦をめぐる協議をオンライン形式で行ったと発表しました。

協議は▽アメリカ側からブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官、▽イスラエル側からデルメル戦略問題相とハネグビ国家安全保障顧問のほか、各省庁の高官や専門家が出席して2時間にわたって行われたということです。

協議のあと発表された共同声明によりますと、両国の高官はラファでイスラム組織ハマスを打倒すべきだという考えでは一致する一方、アメリカ側は地上作戦の実施に改めて懸念を伝えたということです。

これに対しイスラエル側は懸念を踏まえて協議を続けることに同意したとしています。ホワイトハウスのジャンピエール報道官は1日、記者会見で「作戦を進めるのであればわれわれは協議し、どのように進めるのかを理解しなければならない」と述べて住民に犠牲が出ないようイスラエル側に働きかけを続ける考えを示しました。

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