【点描・永田町】波紋広げる菅前首相の「勉強会」

東京, 4月11日, /AJMEDIA

 岸田文雄首相がウクライナ危機と新型コロナウイルス・パンデミック(世界的大流行)の挟撃に苦闘する中、菅義偉前首相をトップとする「勉強会」立ち上げの動きが、自民党内に複雑な波紋を広げている。いわゆる「菅グループ」を軸とした反主流派結集ともなれば、岸田政権への揺さぶりになるからだ。
 ただ、かねて派閥結成を否定してきた菅氏は、「勉強会」を菅政権で掲げた公約の実現を目指す政策集団と位置付ける構えだ。注目の発足時期はウクライナ情勢の展開次第だが、4月中が目標とみられている。菅氏はそれまでに派閥を超えた多数の参加者を集め、初会合にこぎ着ける戦略だが、国際社会が極度に緊迫する中での政局的な動きに与党内の反発も強く、「集まる議員は限られる」(麻生派幹部)との声も少なくない。
 この「菅勉強会」をにらんだ自民党内の動きは、3月に入って活発化。15日に菅氏と二階俊博元幹事長、森山裕前国対委員長、林幹雄前幹事長代理が会談、これまで通りの連携を確認した。22日には菅氏の盟友である佐藤勉前総務会長と森山、林両氏が会談し、「菅勉強会」の早期開催を目指すことで一致。翌23日には佐藤氏とその側近ら約10人が独自に勉強会を開き、衆参両院での連携を確認した。佐藤氏らは2月に麻生派を退会したばかりで、「菅グループの別動隊」とみられている。
 菅氏を慕う「ガネーシャの会」も3月17日、菅氏が提起してきた「縦割り打破」を軸とする実現すべき政策課題をまとめ、菅氏に報告した。一連の勉強会は政策ごとに議員を集める「この指止まれ」方式で、テーマは菅氏が注力してきた温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す「カーボン・ニュートラル」や、不妊治療支援策などを掲げることになる。このため「結集する議員の総数は優に50人を超える」(菅氏周辺)との見方も広がる。
◇「ポスト岸田」見据え、石破氏にも秋波
 菅氏は首相時代、コロナ対応での国民の厳しい「後手」批判などで求心力を失い、「菅首相では衆院選惨敗」とする自民内の“菅降ろし”に屈して、党総裁選直前の退陣表明に追い込まれた。しかし、ワクチン接種で示した手腕への再評価に気力を取り戻し、最近はキングメーカーへの意欲もにじませているとされる。その一方で、ここに来て「菅氏が首相に配慮している」(自民長老)との見方も浮上。隙間風が吹いた首相と公明党の関係修復に菅氏が尽力、保守分裂選挙となった石川県知事選で馳浩元文部科学相の応援に入り、馳氏勝利に貢献したからだ。
 党内に菅氏をめぐる臆測が交錯する中、首相サイドが警戒するのは、総裁選で河野太郎・現党広報本部長を支援した石破茂元幹事長と菅氏の連携だ。石破派の解消後、石破氏を中心とする党内横断的グループが3月2日に開いた初の勉強会には、ガネーシャの会のメンバーの一部が出席し、党内に「菅氏が石破氏に秋波を送った」(菅氏周辺)との見方を広げた。もともと河野氏は、麻生派所属にもかかわらず、「菅氏が後見人」とされてきただけに、菅、石破両氏の接近が「ポスト岸田をにらんでの党内冷や飯組の結集」(麻生派幹部)ともみえるからだ。菅氏周辺も「菅勉強会」について、「夏の参院選で自民が苦戦した場合、次期総裁選に向けて岸田首相を追い落とす準備」と漏らす。
 もちろん、現状では野党の分断などで「参院選は自民勝利で首相は安泰」(自民選対)との見方が多い。ただ、その場合でも菅氏が反岸田勢力の旗頭となれば存在感は高まるため、「当面、勉強会にどれだけ集まるか」が、その後の展開を左右することになりそうだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts