東京, 11月17日, /AJMEDIA/
1999年、米CNETで記者の仕事を始める数年前に、筆者はウィスコンシン州ミルウォーキーでルート配送の仕事をしていたことがある。三菱の7トントラックに乗り、夜の間に地域のベーカリーに商品を届ける。1人でこなす仕事なので、特に暗く寒い冬は不安が多い。そこで上司が連絡用にと、Qualcommの携帯電話「QCP-860」を支給してくれた。携帯電話があれば、非常時には上司に連絡をとったり、ロードサービスを呼んだりできる。いざというときは助けを求められると思うと、週5日の夜の配送も安心してこなせるようになった。
あれから25年。スマートフォンは今も同じ安心感を与えてくれる。当時と比べると、安心のための機能は強化されたと言っていい。例えばGoogleの「Pixel 9」シリーズには「衛星SOS」という新機能が搭載された。この機能があれば、モバイルデータ通信の電波が届かない場所、Wi-Fiネットワークと接続できない場所でも、通信衛星を使って救急サービスに連絡できる。この機能は8月にリリースされたばかりだが、すでにPixelユーザーに恩恵をもたらしているようだ。
「この機能が役に立ったという体験談が続々と寄せられており、手応えを感じる」と語るのは、GoogleでPixelシリーズのグループプロダクトマネージャーを務めるStephanie Scott氏だ。「個人的にも、ハイキングなどに出かけるときは、衛星SOSが使えると分かっているだけで心強い。特に海に近い場所では、電波が届かないことが多いからだ」と同氏は言う。
衛星SOSはGoogleが提供している安全機能の1つだ。転倒検出機能や自動車事故検出機能に加えて、Googleはスマートフォンから衛星に接続するサービスを導入した。目的は、緊急時の通信手段を確保し、困ったときは助けを求められるという安心感をユーザーに提供することだ。同様の機能はすでにAppleやT-Mobile、SpaceXも提供している。
衛星SOSは、Pixel 9シリーズの重要な機能であると同時に、できれば使う機会がないことを願う機能でもある。その仕組みを知るために、筆者はカリフォルニア州マウンテンビューのGoogle本社を訪れ、この機能を実際に体験してきた。