東京, 11月23日, /AJMEDIA/
日本貿易振興機構(ジェトロ)や日本政府は、米国で日本産和牛の輸出拡大へアピールを強化する。「Wagyu」と表記して輸出できるよう、事業者向けに新指針をまとめた。米国では国内産やオーストラリア産の「Wagyu」が台頭。輸出業者は「本家」のブランドを前面に出して「日本産の価値を守っていく」と気を引き締めている。
米国の食品表示ルールでは、牛肉などの品種の表記には申請が必要。日本の業者がこれを知らず、箱に「Wagyu」と記載して輸出したところ、2022年に米当局から消すように指示されたことがあり、以降は表記を見合わせている。
これをきっかけにジェトロなどは「Wagyu」表記申請の指針を策定。米当局への申請手続きから、実際に表記して輸出できるかどうかまでを確認する。
表記が重要となる背景には、米国では「Wagyu」が必ずしも日本の食に由来すると認識されていないことがある。ジェトロによると、20年に米国で流通した「Wagyu」の産地別割合は、米国産が55%、豪州産が40%で、日本産はわずか5%だった。霜降り牛肉全般を神戸牛が由来の「Kobe(コービー)」と呼ぶ人も多く、日本産のPRが課題だ。
農畜産業振興機構によると、米国で日本産和牛の高級部位は、米国・豪州産「Wagyu」の約2.5倍の価格で販売されている。
パッケージに「Wagyu」と書かれていなくてもレストランは日本産和牛として提供は可能。しかし、ジェトロの担当者は「表記は信頼感につながる」と説明する。ある輸出業者は、米国の取引先から「箱に表示されていないが、本当に『Wagyu』なのか」と問い合わせを受けることがあるといい、明記されればブランド化と差別化ができ「相手に分かりやすい」と期待する。