「秋の褒章」受章者 786人と26の団体に

東京, 11月2日, /AJMEDIA/

長年にわたって、その道一筋に打ち込んできた人や、芸術やスポーツの分野で功績のあった人などに贈られる「秋の褒章」の受章者が発表され、パリオリンピックで3つの金メダルを獲得した体操の岡慎之助さんら786人と26の団体が受章することになりました。

ことしの「秋の褒章」を受章するのは
▽人命救助活動で功績のあった人に贈られる「紅綬褒章」が1人。

▽ボランティア活動で功績のあった人や団体に贈られる「緑綬褒章」が11人と26の団体。

▽長年にわたって、その道一筋に打ち込んできた人に贈られる「黄綬褒章」が258人。

▽芸術や文化、スポーツ、それに学術研究の分野で功績のあった人に贈られる「紫綬褒章」が73人。

▽公共の仕事で顕著な功績があった人に贈られる「藍綬褒章」が443人です。

このうち「黄綬褒章」は、競馬の騎手として30年以上にわたって活躍し、JRA=日本中央競馬会のレースで歴代最多の勝利を挙げている武豊さんらが受章します。

また「紫綬褒章」は、パリオリンピックで3つの金メダルを獲得した体操の岡慎之助さんや、陸上女子のフィールド種目で日本選手初の金メダルを獲得したやり投げの北口榛花さん、パリパラリンピックの車いすテニスで、2つの金メダルを獲得した上地結衣さんや、初出場で金メダルを獲得した小田凱人さんら、パリオリンピック・パラリンピックの金メダリスト54人が受章します。

さらに、将棋の棋士で「永世竜王」と「永世棋王」の2つの「永世称号」の資格を獲得している渡辺明さんらも受章します。

褒章の受章者は、11月13日、14日、18日、26日の4回に分けて、皇居で天皇陛下からおことばを受けることになっています。

紫綬褒章を受章する 体操男子の岡慎之助選手
紫綬褒章を受章する体操男子の岡慎之助選手は、岡山県出身の21歳。

初出場のパリオリンピックで、団体と個人総合、種目別の鉄棒の3種目で金メダルを獲得し、1972年のミュンヘン大会以来、52年ぶりに3冠を達成しました。

岡選手は、受章について「すごく光栄なことで、頑張ってきた結果だと感じる。自分自身にとっても本当に記憶に残る大会で、『歴史を作ったんだな』という思いを持っている」と話しました。

そして、「自分の姿を見て地元では体操を始めたという子どもが増えているとも聞いているし、『感動した』とか『勇気をもらった』とか、そういうことばを聞いて、本当にオリンピックは人を勇気づけるすばらしいスポーツイベントだと感じた。今後は国内の大会でも、見る人にエネルギーを与えられるような試合をしたいと思っている」と気持ちを新たにしていました。

紫綬褒章を受章する 車いすテニスの上地結衣選手
紫綬褒章を受章する車いすテニスの上地結衣選手は、兵庫県出身の30歳。

ことしのパリパラリンピックでは、持ち味の多彩で正確なショットを生かし、女子シングルスと、田中愛美選手とペアを組んだ女子ダブルスの2種目で、いずれも日本勢として初となる金メダルを獲得しました。

上地選手は、今回の受章について「まさかというか、すごくびっくりして、頑張ってきてよかったと思う。諦めずに続けてきてよかった、頑張ったなと自分自身をほめてあげたい」と心境を語りました。

そして、4大会目のパラリンピックで悲願の金メダルを獲得したことについて、「ずっと目指してきて、過去にはたくさん悔しい思いをしてきたので、やっと取れたなという感じだ。ただ、取るまでに時間がかかったとは思っていなくて、たくさんの人に出会って、一緒に時間を歩んで今回の結果に至ったので、『ありがとう』という気持ちでいっぱいだ」と、支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを述べました。

そのうえで、今後については「まだウィンブルドン選手権のシングルスのタイトルだけ取れていないし、世界ランキング1位に、またなりたいという目標もある。パラリンピックで改善点も出たので、プレーの質を上げて自分自身に挑戦していきたい。そして、車いすテニスのおもしろさを、もっと感じてもらえるようなプレーをしていきたい」と話していました。

紫綬褒章を受章する 車いすラグビーの池透暢選手
紫綬褒章を受章する車いすラグビーの池透暢選手は、高知市出身の44歳。

19歳の時の交通事故で左足を失い、車いすバスケットボールを経て、12年前に車いすラグビーに転向しました。

パラリンピックでは、3大会連続で日本代表のキャプテンを務め、ことしのパリパラリンピックで、初めての金メダルを獲得しました。

池選手は、受章について「伝達式をテレビで見たことがあり、『僕が?』というところが最初に思ったことだし、本当に光栄だなと感じた」と心境を語りました。

また、これまでの競技生活を振り返り、「高知から金メダリストになることにこだわり続けて、交通事故から25年やってきたので、すごく長かったし、正直言うと疲れたなということもあったが、さらに活力を与えていけるような存在として頑張っていきたい」と話していました。

そして、今後について、「パラリンピックで金メダルを取り、まだゆっくり休む時間はないが、自分のやるべき立場として、競技以外のいろんな挑戦もしていきながら、次のロサンゼルス大会まで進んでいきたい」と抱負を語りました。

紫綬褒章を受章する 将棋棋士の渡辺明さん
紫綬褒章を受章する将棋棋士の渡辺明さんは、東京都葛飾区出身の40歳。

中学3年生でプロ入りを決めた史上4人目の、いわゆる「中学生棋士」で、早くから頭角を現しました。

20歳の若さで八大タイトルの最高峰である「竜王」を獲得する快挙を成し遂げ、これまでに獲得したタイトル数は、歴代4位の通算31期。

同じタイトルを一定の回数、獲得した棋士に与えられる永世称号のうち、「永世竜王」と「永世棋王」の資格を持ち、現在もトップ棋士として活躍を続けています。

将棋界では最年少となる40歳での受章について、渡辺さんは「まだそういう年齢ではないと思っていたので驚きました。40代、50代で活躍するのが大変だというのは、20代、30代の時にはわからなかったことですが、それでも、羽生善治九段の世代を中心に一回り上の世代が活躍されていますので、そういった先輩方と同じような年齢まで活躍したい気持ちです。トップ棋士、一線で、ということばが使われますが、その範囲内に入れるように、1年でも長くやっていきたい思いがあります」と話していました。

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