東京, 2月9日, /AJMEDIA/
特定のスポットでWi-Fiに接続し、多くの場合無料でインターネットが利用できる公衆Wi-Fi。一時は多くの企業が公衆Wi-Fiの整備に動いていたが、最近ではその存在感が大きく低下しつつある。あまり利用していないという人も多いのではないだろうか。
なかでも公衆Wi-Fiの退潮を象徴する出来事として、『セブン-イレブン』などを展開するセブン&アイグループが提供していた公衆Wi-Fiスポット『7SPOT』の2022年終了が挙げられるだろう。
セブン、ファミマ、東京メトロも終了
7SPOTは2011年からサービスを開始しており、会員であれば1回最大60分のWi-Fi接続を無料で1日3回利用できたほか、携帯ゲーム機などとの連携施策も実施するなど、公衆Wi-Fiでは大きな存在として知られていただけに、その終了は大きなインパクトを与えることとなった。
また同年には、同じコンビニエンスストア大手のファミリーマートが「Famima_Wi-Fi」を終了したほか、東京メトロも「Metro_Free_Wi-Fi」を終了するなど、大手事業者が公衆Wi-Fiを終了させる動きが相次いでいる。その一方で、2025年現在も公衆Wi-Fiの大規模整備に動く事業者は見られない。
終了の要因は
しかしなぜ、以前は整備が活発に進められていた公衆Wi-Fiが、大きく存在感を失うに至ったのだろうか。これまでの経緯を振り返るに、大きな影響を与えた要因は2つあると考えられる。
その1つは訪日外国人観光客の存在だ。そもそも国内で公衆Wi-Fiの整備が進んだのは、日本政府のインバウンド需要開拓に向けた取り組みが非常に大きく影響している。
日本は元首相の小泉純一郎氏の政権下にあった2003年から、観光立国の実現に向けた動きを進めた。2007年には観光立国推進基本法を施行するなど、訪日外国人向けの観光を新たな産業として開拓する動きが積極化した。
そこで問題点の1つとして多くの指摘されたのが、訪日外国人向けのインターネット環境整備、なかでも海外では既に広く利用されていた公衆Wi-Fiの整備が日本では進んでいなかったことだ。
とりわけ、2013年に2020年の東京五輪開催が決定し、より多くの外国人が日本を訪れることが予想されたこともあり、東京五輪に合わせて公衆Wi-Fiの整備が進んだ側面も大きい。だがそこに大きな影を落としたのが、2020年からおよそ3年に渡って続いた新型コロナウイルスの影響だ。