東京, 11月20日, /AJMEDIA/
2025年の連続テレビ小説「ばけばけ」
ヒロインのモデルとなった“小泉セツ”は明治時代の作家、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲の妻です。
「雪女」や「ろくろ首」など、誰もが知っている怪談を広めた八雲。
実は、セツがいなければ八雲の「怪談」は存在しなかったかもしれません。
八雲を支えたセツの素顔に迫ります。
(大阪放送局 映像制作 竹内杏莉)
「影の立て役者」小泉セツとは
白い肌の美しい妖怪「雪女」
首が胴体から離れて浮遊する「ろくろ首」
これらの怪談を世に広めたのは、明治時代の作家、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲です。ギリシャで生まれたハーンは明治23年、39歳のときに来日しました。
一方、小泉セツは慶応4年(明治元年)に島根県松江市で生まれました。勉強好きで成績もよかったセツは子どもの頃から昔話や怪談が大好きでした。その経験が、ハーン(八雲)との絆を深めることになるのです。
2人が出会ったのはハーンが40歳のころです。英語教師として島根県松江市に赴任したハーンの身の回りの世話をするため、セツは住み込みで働くことになりました。
親しくなった2人はやがて夫婦として一緒に暮らすようになります。
小泉夫妻と関西のゆかり
小泉夫妻は全国各地を旅したり、島根や熊本・東京などに移り住んだりしていました。およそ5か月間住んでいた松江市内の家は、今も残されており、国指定の史跡になっています。
関西にもゆかりがあり、大阪の四天王寺や京都の知恩院、それに三十三間堂を訪れたことや、奈良の大仏を見て鹿に餌をあげたことなどが資料にも残されています。
またセツが26歳のときから、およそ2年間は神戸に住んでおり、自宅があった神戸市中央区には八雲の記念碑があります。この神戸時代にラフカディオ・ハーンは帰化し「小泉八雲」となりました。
セツは日本各地に伝わる伝承や怪談を八雲に話しました。その影響を受け、八雲は日本の怪談などに深く関心を寄せるようになります。大学の講師などをつとめながら「怪談」などの作品を発表しました。
執筆作業を支えたセツは、八雲の作家人生にとって「影の立て役者」だったのです
「怪談」を愛する夫婦
2025年に放送予定の連続テレビ小説「ばけばけ」は、この2人をモデルにしたオリジナルストーリーです。
ヒロインの“松野トキ”役を演じるのは、宮崎県出身の※高石あかりさんです。(※「高」は「はしご高」)
およそ3000人の中から、オーディションで選ばれました。ヒロイン発表会見のあと、心境を聞きました。
高石あかりさん
「本当にうれしいです。小さい頃から俳優になるのが夢で、小学生の時に担任の先生から『私あなたが朝ドラヒロインになった姿を見たい』と言われて、そこから漠然と夢見てたものじゃなくて、“朝ドラヒロイン”というものになりたいと明確に思うようになりました」
撮影は2025年の春から行われ、「怪談」を愛する夫婦の日常の姿が描かれます。
高石あかりさん
「セツさんの人ととなりは、ハーンさんだったりとか誰かに対する思いやりとか、愛情が本当に大きくて、セツさんの温かさに包まれるような人だなと思った。きっと1年をかけて“松野トキ”っていうキャラクターがどんどん私になっていくというか、すごく楽しい時間が始まるワクワクが大きいです」